• 講師・講演情報(座学)

    8月26日(金)00:00 - 00:00

    題名)電子顕微鏡 染色理論とアーティファクトについて

    生物試料を電顕観察するためには試料作製が必要となります。試料作製では化学固定、脱水、熱重合、超薄切時の機械ストレス、電子染色による重金属修飾といった過激な処理を試料は経験するため、細胞にアーティファクトが混入せざるを得ません。これに対して電顕従事者はアーティファクトについて無防備で、何がアーティファクトで、どのような理由で形成されるのかについては分かっていない方々が多くいます。蛍光版に見える電顕像は観察者に「私がアーティファクトです」と語りかけてくることは絶対にありません。アーティファクトは殆ど研究者にとっては意味のない、むしろ有害となる画像ですが、観察者がこれに意味があると判断すると、研究レベルが下がったり、結論が間違っていることすら起こります。
    今回は、細胞のどのような成分が重金属とどのように化学結合してコントラストを与えるのかをはじめに説明します。その後、電子染色で見られるアーティファクトの実例(とてもたくさんあります)を出来るだけ多く紹介して、その分類を試みた結果を紹介します。加えて、アーティファクトの形成理由に踏み込んで(形成理由が分からないこともありますが)、アーティファクト防止や改善策について話したいと思います。
  • 朴 杓允

    Park Pyoyun

    プロフィール)

    神戸大学名誉教授

    私は1977年に京都大学で農学博士を取得後、帝京大学整形外科に奉職し(1981年~1998年)、肉腫の電顕確定診断、起源不明の肉腫研究、骨Pajet病の病因研究、結合組織でのFLS研究、腫瘍での孤立繊毛の病理学的意義等の研究を行ってきました。その後、2012年に神戸大学農学研究科を定年退職するまでの研究分野は、カビによる植物感染症と肉腫の基礎研究です。病原糸状菌である9種のAlternaria菌の宿主特異的毒素の作用機構、病原菌の感染機作、病害抵抗性機構の解析等について40年間研究を続けてきました。

    このような研究背景のため、微生物、植物、動物を比較的よく理解している珍しいキャリアを持つ研究者です、その後、縁あって2015年から本学研究基盤センターでコディネーターを勤めていましたが、2021年3月に同センターを退職し、現在は、私が主催する電顕講演会の世話人を務めております。